📌 この記事の要点
- TBSがイロモネアの一般審査員への誹謗中傷について注意喚起を実施
- 「審査員のジャッジに文句をつけない」という番組の不文律が破られた
- 一般審査員は顔出し必須のため、個人が特定されやすい危険性がある
- 同様のシステムを持つ「THE SECOND」などへの影響も懸念される
- バラエティと賞レースの審査員システムの違いを理解する必要性
イロモネアで何が起きたのか TBSの注意喚起の内容
TBSは1月3日、公式サイトや番組関連のSNSを通じて、「ウンナン極限ネタバトル!ザ・イロモネア 笑わせたら100万円」の一般審査員に対する誹謗中傷について注意喚起を行いました。
TBSの声明では「この度の特番放送において審査員の方々を誹謗中傷するようなインターネット上の書き込みが見られます」と明言し、「審査員の皆様のジャッジにより番組が成り立っております」と番組の仕組みを改めて説明しています。
同番組は、出演芸人が5つのジャンルに挑戦し、観客100人の中からランダムに選ばれた5人の一般審査員を笑わせることができればステージクリアとなる仕組みです。一般審査員が笑ったかどうかを判定するため、顔出しは必須となっており、その表情がテレビに大きく映し出されます。
今回の問題は、特定の一般審査員のジャッジに対してSNSなどで批判的な書き込みが相次いだことがきっかけとなっています。番組を楽しむ上で暗黙の了解とされてきた「一般審査員のジャッジには文句をつけない」という不文律が破られた形です。
イロモネアの一般審査員システムとは 番組の成り立ち
「イロモネア」の一般審査員システムは、番組の大きな特徴となっています。このシステムを理解することで、なぜ今回の誹謗中傷が問題なのかがより明確になります。
番組では、観客席に座る100人の一般客の中から、ステージごとにランダムに5人が審査員として選出されます。選ばれた審査員は特別席に移動し、芸人のネタを間近で鑑賞します。この5人のうち1人でも笑えば、そのステージはクリアとなり、芸人は次のステージに進むことができます。
一般審査員の顔はカメラで大きく映され、笑っているかどうかを視聴者がはっきりと確認できるようになっています。これは番組の透明性を保つための演出ですが、同時に審査員個人が特定されやすい状況を生み出しています。
番組の司会を務めるウンナンの内村光良さんや南原清隆さんも、一般審査員のジャッジを尊重する姿勢を示してきました。たとえ自分たちが「面白い」と思ったネタでも、審査員が笑わなければクリアにならないというルールを徹底しています。
賞レースの「ガチ化」が招いた弊害
かつてのバラエティ番組において、一般審査員のジャッジは「運」や「時の運」として受け入れられてきました。しかし、近年の『M-1グランプリ』に代表される賞レースブームにより、視聴者の目線が「プロ級」に厳しくなっている側面があります。 例えば2025年5月には、他の番組で1点をつけた観客に対し、芸人側がラジオで苦言を呈したことが話題になりました。視聴者が「自分がおもしろいと思うものが正義」という強い主観を持つようになり、それと異なる反応を示す一般審査員を「敵」と見なす攻撃的な構図が定着しつつあります。。
番組制作側としては、こうした芸人の発言も含めてエンターテインメントとして成立させてきましたが、SNSの普及により視聴者が直接審査員に向けて批判を発信できる環境になったことで、状況は大きく変化しました。
視聴者の反応と具体的な誹謗中傷の内容
今回の問題では、特定の一般審査員に対してSNS上で様々な批判が寄せられました。具体的には「なぜ笑わないのか」「この人のせいで好きな芸人が落ちた」といった内容から、個人の外見や表情に対する誹謗中傷まで、エスカレートしていったケースも見られました。
特に問題となったのは、自分が応援している芸人が一般審査員に笑ってもらえずステージクリアできなかった場合です。熱心なファンほど感情的になりやすく、審査員に対して攻撃的なコメントを投稿してしまうケースが増えています。
また、「自分は笑ったのになぜこの審査員は笑わないのか理解できない」という、自分の感覚を基準にした批判も多く見られました。笑いのツボは人それぞれであるという基本的な事実が、熱中するあまり忘れられてしまっているようです。
一部のSNSユーザーは、一般審査員の顔写真をスクリーンショットで保存し、それを拡散させながら批判するという行為も行われました。これは明確なプライバシー侵害であり、デジタルタトゥーとして長期間残る可能性がある深刻な問題です。
バラエティと賞レースの違い 求められる審査の質
今回の問題を理解する上で重要なのが、バラエティ番組と賞レースの違いです。この区別を理解することで、なぜイロモネアで一般審査員システムが採用されているかが見えてきます。
バラエティ番組である「イロモネア」では、気楽に楽しむことが前提とされています。一般審査員は笑いに関しては素人であり、その素直な反応こそが番組の価値となっています。視聴者は一般審査員の反応を通じて、「人それぞれに笑いのツボがある」という多様性を実感することができます。
一方で、「M-1グランプリ」や「キングオブコント」などの賞レースでは、笑いのプロが審査員を務めます。上沼恵美子さんや松本人志さんなど、長年お笑い界で活躍してきた実績のある芸人が、出場者の技術や構成力などを専門的な視点で評価します。
賞レースの審査員は、視聴者の「納得」を誘うことが求められます。なぜこの芸人が優勝したのか、なぜこの点数になったのかを、プロの視点から説明できることが重要です。審査員のコメントも、後進の芸人たちへの学びとなります。
この違いを理解せずに、バラエティ番組の一般審査員に対して賞レースと同じような「説明責任」を求めることは、システムの本質を誤解していると言えます。
THE SECONDへの影響も懸念 同じシステムを持つ番組の今後
今回のイロモネアでの問題は、同じく一般審査員システムを採用している他の番組にも影響を及ぼす可能性があります。特に注目されているのが、フジテレビ系で放送されている漫才賞「THE SECOND」です。
「THE SECOND」では、お笑いマニアを一般客として集め、彼らが審査に参加します。プロの審査員と一般審査員の採点を組み合わせて最終的な順位を決定する仕組みです。この番組でも過去に、特定の出場者に低い点数を付ける一般審査員に対して批判的な意見がたびたび向けられました。
「THE SECOND」では一般審査員の表情ははっきりとは映されませんが、出場者をバックショットで撮影した際など、顔が見えることもあります。そのため「絶対安全」とは言えない状況です。イロモネアで不文律が破られたことで、THE SECONDでも同様の問題が増加する危険性が高まっています。
一般審査員システムは、視聴者との距離を近づけ、より身近に番組を楽しんでもらうための工夫として導入されてきました。しかし、SNSの発達により、このシステムが一般人を攻撃の対象にする危険性も明らかになっています。
番組制作側としては、一般審査員の顔をより映さないようにする、あるいは審査員を完全に匿名化するなどの対策が今後求められる可能性があります。ただし、それは番組の透明性や面白さを損なうことにもつながりかねず、難しいバランスが求められています。
誹謗中傷が起きる背景 SNS時代の視聴者心理
なぜ一般審査員に対する誹謗中傷が起きてしまうのか、その背景にはいくつかの要因が考えられます。まず第一に、視聴者が番組に対して高い期待値を持ちすぎていることが挙げられます。
特に自分が応援している芸人が出演している場合、「絶対に勝ってほしい」「自分のお気に入りの芸人は絶対に面白い」という強い思い込みが生まれます。そのため、一般審査員が笑わなかった場合、「審査員がおかしい」という結論に飛びついてしまうのです。
また、SNSの匿名性も大きな要因です。顔が見えない環境で、普段なら言わないような攻撃的な言葉を投稿してしまうケースが増えています。特にリアルタイムで番組を視聴しながらSNSに投稿する「実況文化」が広まったことで、感情的な反応がそのまま文字化されやすくなっています。
さらに、「自分軸でおもしろさを判断しすぎる」という問題もあります。自分が笑ったネタで審査員が笑わなかった場合、「なぜ笑わないのか理解できない」と感じ、それが批判につながります。しかし、笑いのツボは本来、人それぞれ異なるものです。
番組側がいくら「一般審査員のジャッジを尊重してください」と呼びかけても、視聴者の感情をコントロールすることは困難です。根本的な解決には、視聴者一人ひとりのメディアリテラシーの向上が必要となります。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1: イロモネアの一般審査員はどのように選ばれるのですか?
A: 観客席に座る100人の一般客の中から、ステージごとにランダムに5人が選出されます。事前に決められているわけではなく、その場で抽選によって決まる仕組みです。
Q2: なぜ一般審査員の顔を大きく映す必要があるのですか?
A: 審査員が本当に笑ったかどうかを視聴者が確認できるようにするためです。番組の透明性を保ち、不正がないことを証明する目的があります。
Q3: THE SECONDとイロモネアの一般審査員システムの違いは?
A: イロモネアは完全に一般人がランダムに選ばれるのに対し、THE SECONDはお笑いマニアを事前に集めて審査員としています。また、THE SECONDはプロ審査員と一般審査員の採点を組み合わせる方式です。
Q4: 一般審査員への誹謗中傷は法律的に問題になりますか?
A: はい、名誉毀損や侮辱罪に該当する可能性があります。特に顔写真を無断で拡散する行為はプライバシー侵害となり、民事・刑事両面で責任を問われる可能性があります。
Q5: 今後、一般審査員システムはなくなる可能性がありますか?
A: 完全になくなることは考えにくいですが、審査員の顔を映さないようにするなどの対策が取られる可能性はあります。ただし、それは番組の面白さや透明性に影響する可能性もあり、難しい判断となります。
📝 まとめ
TBSが「イロモネア」の一般審査員への誹謗中傷について注意喚起を行った今回の問題は、バラエティ番組における一般審査員システムの危険性を浮き彫りにしました。番組の不文律であった「一般審査員のジャッジに文句をつけない」というルールが破られたことで、同様のシステムを持つ他の番組にも影響が及ぶ可能性があります。
一般審査員は笑いの素人であり、その素直な反応こそが番組の価値です。バラエティ番組と賞レースの違いを理解し、それぞれの審査員に求められる役割の違いを認識することが重要です。SNS時代において、視聴者一人ひとりが番組を楽しむ上でのマナーを守り、メディアリテラシーを高めていくことが求められています。
今後、番組制作側も一般審査員を守るための新たな対策を検討する必要があるでしょう。しかし、最も大切なのは視聴者自身が、画面の向こうにいる一般審査員も同じ人間であることを忘れず、尊重する姿勢を持つことです。バラエティ番組は誰もが気楽に楽しむためのものであり、その楽しみ方を改めて考え直す機会となったと言えるでしょう。